あなたもステキよ

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あなたもステキよ〔第五章〕
ズボンのファスナーが1cm開いた。

私は、うしろへおしりを1cm引いた。

1cm開いたから1cmうしろに下がったわけではない。

軽トラックの座席は狭く、それ以上下がれないから

目いっぱい下がったのがちょうど1cm位しかなかったからだ。

モッコリしてきているから、ファスナーもスムーズには下りない。

「クチデシテアゲル」からと、紅い唇があんこうのように動く。

彼女の目はうっとりと艶めかしい。

いくら顔が小さいといえ、軽トラではハンドルの下に

頭が入るわけがない。

ましてや168cmの長身では狭い室内、中国雑技団でないかぎり

アクロバットの体型はとれない。

しかし、彼女は本気のようだ。

その体型を執ろうと動き始めた。

私は白内障で、両サイドはまったく見えず視界は狭い。

気持ちのいいことをして、目の前が卵の白身のように曇ったら

運転はできない。

「事故でも起こしたら」が、頭をよぎる。

衝突でもして局部を噛み切られたら、阿部定どころではない。

阿部定は石田吉蔵を殺してから陰茎を切ったが、

私は死ぬ前に噛み切られるわけだから、事件価値は

阿部定事件より高い。

そうなるとスクープは、伊勢新聞だろうか、中日新聞だろうか、

まさかニューヨークタイムズはこないだろう。

田舎のカカー達は、私のスケベを時代を超えて語り継ぐことだろう。

天にも昇る快楽が私を包もうとする。

この快楽であまたの男女が、どれほど身を滅ぼしたことか。

私もあまたの男女と同じように快楽に溺れやすい人間である。

40代の私なら、このまま突き進んでいただろう。

いや、今でも進みたい気持ちは十二分にある。

春のような日差しが車内をさらに暑くする。

車内は私の息づかいで曇り始めた。

「ここではいかん、いい所へ行こう」と私は、

彼女の手を押さえた。

その時、彼女の携帯が石川さゆりの「津軽海峡冬景色」の

着メロを唄った。










| あなたもステキよ〔第五章〕 | 12:43 | comments(0) | trackbacks(0) |

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