あなたもステキよ

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あなたもステキよ〔第六章〕
携帯の画面を見た彼女は、「ウェイ」と耳にあてる。

津軽海峡のメロデーが途中で切れる。

同じ国の人からの電話だろう、言葉が機関銃のように

続く。何を言っているのか皆目わからない。

しかし、彼女は目を丸くして驚いたり、

眉間に手を当てて悲しみの表情をしたり、

唇をかみしめ怒りを表したりと、いつもの笑顔の

かわいい顔がない。

雰囲気でいい話ではないことが解る。

電話は長く続き、私が口を挟む間がない。

何が起こったのだろうかと思いながら、

私は黙って運転を続けた。

いつの間にかハブのように大きかった私のもっこりは、

メメスのように小さくなって、パンパンに張っていたズボンは、

幾重にも皺ができ、窪みになってしまっている。

「エキニイッテクダサイ」と彼女は携帯を切るなり言った。

「どうかしたのか」と聞いても悲しい顔をして首をふるだけ。

近くの駅に着くと「デンワスルカラ」と、少し明るく振舞った彼女は、

私の左ほっぺに「チュ」とキスをして、急いで軽トラのドアを開けた。

二度手を振って構内に美しい肢体は消えた。

私は、ルームミラーを下げて左のほほを見た。

口紅のあとがルームミラーに「あなたもステキよ」と

言ってくるように映っている。

私はそっとほほに手をあてた。

彼女がまだここに居るように感じる。

ひとりになった私は、彼女の表情や行動から

悪い予感を覚えずにはいられなかった。

燃えるほど暑かった車内は、陽も落ち

ガランとして空しく、寒ささえ感じる。

私は、気持ちを紛らわせるため

CBCラジオのボリュウムをあげた。

「さよならあなた、私は帰ります

風の音が胸をゆする

泣けとばかりに

ああ、津軽海峡冬景色」が流れてくる。














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